見逃してしまった・・・。
先週の金曜日(1/28)テレビに作家の原田マハさんが出てたことを、昨日知りました。
見たかった・・・。
私、原田マハさんの作品好きなんです。
どの本も、本の世界に引き込まれます。
今回は生きるぼくら (徳間文庫) [ 原田マハ ]について書きます。
主人公はいじめがきっかけで引きこもりになった、24歳少年。
母子家庭であることから、母親の負担が大きく、母親は置手紙を残して出ていく。
置手紙と一緒にあった年賀状を見て、父方の祖母に会いに長野県蓼科に行き、
米作りを通して人生が変わっていく、という話です。
正直に言います。
本屋さんで見た時、買う気あまりなかったんですよ。
なぜかというと、いじめの描写を読むことが苦手だからです。
暴力や、陰湿で後味が悪くなるような描写があります。
読んでいて、胸が苦しくなるような感じがありました。
同じような経験や、苦手な方は読み飛ばした方がいいかもしれません。
でもそれ以上に、「読んでよかった」という満足感は大きかったです。
主人公が長野で知り合う大人たち、
父方の祖母、血のつながらない妹、食堂で知り合う人、職場の人、
みんな魅力ある人ばかり。
厳しいアドバイスもするけど、心優しく主人公を応援してくれます。
特に主人公が長野で最初に出会う、食堂のおばちゃん志乃さんは人柄最高です。
この本の一番の魅力は、米作りの話とご飯を炊く描写、おにぎりの描写。
炊き立てのピカピカの白いご飯、おうちで炊いたご飯を人の手で握ったおにぎり。
この本読むと、今日のご飯は、白いご飯かおにぎりにしよう、って思います。
全国の主婦のみなさん!
最近、お母さんとか家族が握ったおにぎり食べていますか?
私は・・・、食べてないです。自分しかおにぎり作らないから・・・。
うちの母が作るおにぎりは、この話に出てくる「ばあちゃん」のおにぎりと似ています。
大き目なんです。
母の実家はお米を作っていて、食べ盛りの私と兄のために美味しいお米を送ってくれていました。
私が高校生で毎日お弁当を作ってもらっていた時は、大きめのおにぎりが何だか恥ずかしくて
「ちょっと小さめのおにぎりにしてくれん??」
って今となっては生意気なことを言っていました。
母は、
「えー、大きい方が美味しいやろ。ばあちゃんとこのお米よー。」って言っていました。
今なら、わかる。
大き目のおにぎり、マジ美味しい!
そして、登場人物の中で私が魅力を感じたのが、
主人公を評価してくれる職場の人、田畑さんの息子、純平。
長野から東京の大学に行き、上昇志向強め男子。
就活がうまくいかず、はじめ主人公に会った時はバカにするような態度を取りますが、主人公の米作りを手伝うにつれ成長していきます。
最初は、とにかく権力とか出世欲とかそれだけを考え、人を見下すような性格。
わかるわー。って思います。私も地方出身なので、わかる。
わかるんだよ、その浅い考え・・・、って共感しました。
でも、元々の性格の良さもあり、憎めない「良いヤツ」です。
また、この本の中に東山魁夷の「緑響く」について書いてあります。
この絵、見たことある人多いと思います。
本のカバーになっているこの絵です。
吉永小百合さんが出演していたシャープのCMに使われていました。
このCMを見た時、
「え!!CG??あ、実在する場所なんだ!!!」とビックリしました。
行ってみたいです。
どんどん本の世界に引き込まれるので、1日で読んでしまいました。
そして、泣いてしまったよ・・・。
【最後に原田マハさんについて】
どの本読んでも、本の世界に引き込まれる大好きな作家さんの一人です。
そして、実は原田マハさんによって「キュレーター」という職業を知りました。
代表作の一つ「楽園のカンヴァス」等、沢山の美術に関わるお話は、キュレーターとしての一流のキャリアなくしては書けないですね。
そして度胸と行動力でやってみたかった美術の世界に飛び込み、
伊藤忠へ中途入社→森ビルへ転職→森美術館立ち上げ等、どんどん実を結んでいくご経歴は感服します。
また、原田マハさんの本を最初に読んだ時、一番驚いたのは、
原田宗典さんの妹さんってこと。
本当に驚きました。
原田宗典さんのエッセイ、高校生の時、面白過ぎて読み漁りました。
お兄さんの原田宗典さんもまた沢山書いて欲しいです。